いい本屋 COME HITHERは、兵庫県神戸市東灘区岡本にある児童書専門店です。
住宅街の一角にある本屋です。
ぜひお気軽にお越しください。

更新情報:

2025.11.01
News 2025.11.1 『児童文学専門店 いい本屋COME HITHERをはじめるまで イギリスとアイルランド1か月の旅』  井伊真希 文・絵  三省堂書店/創英社  11月中旬発売予定
2025.09.10
News 2025.9.10 母校の東京農工大学のホームページに載せてもらいました。ぜひ見て下さい♪
2025.08.01
News 2025.8.1 いつもホームページを見てくださってありがとうございます。 7月末から自費出版の本の原稿のチェックをしています。書きたい事がたくさんあって300ページくらいあるので、チェックだけでも何週間もかかりそうです。秋には出版できると思うので楽しみにしていてください。本の題名は『児童文学専門店 いい本屋COME HITHERをはじめるまで イギリスとアイルランド1か月の旅』です。
2025.04.01
News 2025.04.01 2025年2月に瑞雲舎から『ライオン』が出版されました。 お近くの図書館でリクエスト予約して、読んでみてください。 『ライオン』 文・絵 ウィリアム・ペーン・デュボア 訳 まさき るりこ 発行所 株式会社 瑞雲舎

<12月のおすすめの本>

グロースターの仕たて屋

『グロースターの仕たて屋』
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店

ひとびとが まだ、剣や かつらや、えりに花かざりある ながい上着を 身につけたころ───
紳士がたが そでぐちを ひだかざりでかざり、金糸のししゅうの パデュソイやタフタのチョッキを着たころのこと───グロースターの町に、ひとりの仕たて屋がすんでいた。


「あな糸がたりぬ!」という歌声が耳に残るクリスマスのおはなし。

<12月の詩>

ジョン王のクリスマス

ジョン王さまは わるい人
 ずるいところがあったので
いく日もいく日もの長いこと
 誰ひとり話しかけてくれないこともありました。
道を歩いているときに、すれちがう人はどの人も
 いやな顔してにらんだり、ツンとそっぽを向いて行きました。
するとわるいジョン王は かんむりの下で赤くなり
 じっとその場に立ちつくすのです。

ジョン王さまはわるい人
 友達ひとりありません。
毎日午後のお茶の時間、誰か来ぬかと待つけれど
 誰ひとり来てはくれません。
そして十二月がきて、暖炉の上に飾られた
 クリスマスのお祝いと 来る年の幸をねがったカードはどれもみな
自分のかいたものばかり。
 近くや遠くに住む人が くれたものはありません。

ジョン王さまはわるい人
 けれどもやはりこの人も のぞみやおそれをもちました。
もう何年ものあいだ
 誰ひとりジョン王に、プレゼントをくれることもなく過ごしてきましたが
クリスマスが近づいて
 吟遊詩人が街角で
うたった歌のほうしゅうに
 子どもの賛辞をうける時
ジョン王はひとりこっそりと 二階へあがり、くつ下を
 のぞみをもってつるすのでした。

ジョン王さまはわるい人
 利己主義三昧なそのたいど 
屋根へのぼって考えて
 それを紙に書きました。
そしてそのちいさな紙切れを
 煙突のわきにつけました。
「近くや遠くのおのおのがたへ
 特に、サンタ・クロースさま」
あて名はこう書きその下へ
 正式の名のヨハネス・アールとは書かないで
謙虚にただ「ジャックより」と書きました。

「かんしゃく玉がほしいです
 キャンデーもすこし ほしいです。
チョコレートの一箱はきっと役に立つと思います。
みかんもきらいじゃありません。
 それにくるみは大好きです。
それから私はほしいです、ほんとに切れるポケット・ナイフが。
そして、おおサンタ・クロースさま
 もしも私を愛するならば
大きな赤いゴムまりをひとつもってきて下さいな」

ジョン王さまはわるい人
 手紙を書いたそのあとは
自分の部屋へもどります。
 といをつたっておりました。
それからその夜、夜ふけまで
 のぞみとおそれに身をこがし
ジョン王は眠れずにおりました。
 「あぁ やってきたような気がするぞ」
 (切なさのあまりジョン王のひたいにうかぶ玉の汗)
「何かひとつぐらいもってきてくれるだろう。
 もう何年もなにひとつもらっていないんだから」
 「かんしゃく玉は、もういらぬ。
  キャンデーだってもういらぬ。
チョコレートの一箱は、役に立ちはしないだろう。
みかんはほんとはすきじゃない
 くるみだってほしくない。
それにポケット・ナイフならもってるさ
 あんまり切れはしないけど
だけど おおサンタ・クロースさま
 もしも私を愛するならば
大きな赤いゴムまりを どうかもってきてくださいな」

ジョン王さまはわるい人
 次の朝太陽がのぼりきて
クリスマスの到来を、世界に告げしその時に
 世の人々はくつ下をつかみそれを開け
かんしゃく玉におもちゃにゲーム
 ひっぱり出して ピチャピチャと
 べたつく甘い唇をなめなめ喜びの声をあげる。
ジョン王ひとりむっつりと
 「やっぱり思った通りだな
  私には何も来ていない
 「かんしゃく玉がほしかった。
  キャンデーだってほしかった。
チョコレートの一箱は役に立ったにちがいな
い。
 ほんとはみかんもすきなんだ。
 くるみだってほしかった。
ポケット・ナイフだってほしかった。
 ほんとに切れるのはないんだから。
それに、おお、サンタ・クロースさま
 もしも私を愛するならば
 大きな赤いゴムまりの、ひとつぐらいはもってきてくださったであろうのに!

ジョン王さまは窓べにたって
 雪の中でたわむれる
 しあわせそうな子どもらを
しかめっつらして眺めます。
羨ましさをこらえにこらえ
 なおも窓べに立ってると
窓をつきぬけとんできて
 あやうく頭にぶっつかり
大きくはずんでベッドにおちた
 それはなんと 大きな赤いゴムまりでした!

おおありがとう。サンタ・クロースさま
 あなたは何ていいお方
大きな赤いゴムまりを
 ジョン王さまにくださって
ほんとに、ほんとにありがとう!

詩の楽しみ───子どもとともに───
編集・発行 太子町図書館



<12月の俳句>

キクイタダキ Photo by WAKO

マユミ Photo by Maki

火の番は 父の役割 大火鉢
                 井伊恒子
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